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第63話

「着替えました・・・」 恥ずかしくて視線を伏せ、少し頬を赤く染めてざくろは試着室から出てくる。 ピンクの色がざくろの色白さを引き立て、とても似合っていた。 細くしなやかな腰のラインが綺麗に出て色っぽさも際立つ。 九流は腕を組んで満足気に笑うと手に持っていた赤いキャップ帽をざくろに被せた。 「な、なんですか!?」 「帽子、欲しかったんだろ?似合ってるから被っとけよ」 出際に揉めた帽子云々の件を覚えていた九流にざくろは口を噤んだ。 店員が走り寄ってきて着替えたざくろの姿に感嘆の声を上げた。 「ぅわぁぁあ!!お似合いですよー!可愛いです!!」 ざくろの中性的な顔立ちに少しわんぱく感のある服装を店員は選んだようなのだが、そのせいもあってボーイッシュな女の子にしかみえない。 「サイズもSサイズでいい感じですね。そちら着て帰られますか?」 店員は九流が見繕った今着ている服以外の商品を袋へ詰めながら聞いてきた。 その質問にはざくろが答えるより早く九流が頷く。 店員はハサミを持って、ざくろの着ている服からタグを切り取っていった。 「いやー、ほんっと!お客様お似合いです!あの、イメージモデルとか興味ありませんか?ちょっと一枚だけでも写真撮らせて貰っていいですか?」 デジタルカメラを既に用意していた店員はざくろに頼んでくる。 九流がすぐに止めようとしたが、ざくろはそれをニコリと微笑んで制した。 「別に写真ぐらいいいですよ。・・・ただ、モデルとかは興味ないんで」 しっかり釘を刺してレンズに向けて愛想笑いをすると店員はパシャッとシャッターを切った。

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