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第65話

side 九流 やべぇ・・・ 視線が感覚が全てが奪われる 腕に絡みつくざくろの感触に全神経が集中して九流の心臓は早鐘の如く鳴っていた。 デパートの中のレストラン街へ来て、何を食べようか腕にべったりくっついて悩んでいるざくろに夢中になる。 真剣な顔が可愛くて目が反らせなくて食べ物なんかどうでもよかった。 「先輩?」 呼ばれて我に返ると、ざくろが不思議そうな顔で自分を覗き込んでいた。 「悪い、ボケっとしてた。何だ?」 「いえ、和洋中どれにします?」 「え?そんなのお前が食いたいので・・・」 いいと言おうとしたらあからさまに困った顔をされたので言葉を止めた。 「・・・・あそこの店でも行くか?」 仮にも男子高校生、肉が嫌いなわけないと踏んで九流は鉄板焼きのお店を指差す。 値段も跳ね上がるお店なことから昼時でも客は少なくて九流は尚更いいと思う。 言われるままざくろは九流について歩くと軽やかな女の子の声が九流を呼び止めた。 「九流君!?」 振り返るとそこには二人組の丈の短いスカートを履いた女の子が立っていた。 胸元を大きく広げたタングトップからは豊満なバストが揺れる。 「久しぶりー!ってか、全寮制の学校に入ったんじゃないのー?」 黄色い声を出して駆け寄ってくる女子にざくろはスッと九流から腕を離して身を引いた。 それを狙ったかのように女の子達は九流の両腕へ絡み付きご自慢の豊満な胸を押し付けた。 「外出許可さえ取れば出入りは自由なんだ」 顔色一つ変えずに受け答えする九流に女の子達はぴょんぴょん跳ねる。 「そうなの!じゃあ、デートしてぇ!遊ぼ、遊ぼー!」 「無理」 「なんでぇーーー!九流君とぜんっぜん連絡付かなくてすっごい寂しかったのにー!また暇潰しでもいいから遊んでよー」 「暇じゃねーから無理」 女子から腕を引き抜いて九流は俯くざくろの肩を引き寄せた。 side 九流 終わり

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