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第66話
「こいつとデート中だから邪魔すんな」
スパンっと言ってのける九流に女の子達とざくろの目が点になった。
「・・・・これ、デートなんですか!?」
「当たり前だろ?」
自分を見上げて驚いた顔をして聞いてくるざくろに九流が呆れたように頷く。
「もしかして、彼女〜?・・・顔は可愛いけど、胸なんてペッタンコでスタイル良くないじゃん。九流君、趣味変わったの?」
腕を組んで敵意丸出しの二人に男ですとも言いづらいざくろは帽子を深く被りなおし、女子の視線から逃れるように九流の後ろへ半歩下がった。
「内気な子ね。そんなので九流君の彼女やれるわけ?・・・まっ、いいや!私ら今日は1日暇してるんから彼女と喧嘩したら遊んでねー!連絡待ってまーす!もち、ホテル直行も大歓迎だからぁ〜」
キャハハと甲高い声で笑ってスカートをなびかせ、女の子達は手を振って去っていった。
・・・彼女じゃないし
喧嘩もしない
だから、九流先輩は俺といるもん・・・
でも、先輩は女の子と遊びたいのかもしれない
ホテル直行したいんじゃないの?
女の子の最後の言葉が気にかかって九流を見上げる。
九流はどこ吹く風といった感じで店の前のサンプル品が並ぶメニューを見ていた。
「美味そうだな。入るぞ」
肩を押され店の中へ入ると席は簡単な個室調になっていて一室ずつそこそこの広さがあり快適だった。
「俺はオススメのコースにするけど、お前は?一緒のでいいか?」
「はい」
コクンと頷くざくろに九流は店員を呼んで注文を済ませた。
待ち時間の間、二人は沈黙になりざくろは先ほどの女の子達のことを考える。
俺とご飯食べてて良いのかな?
せっかく外出してるのに、俺とじゃ楽しくないんじゃないかな・・・
質問したいがそんな勇気もなくて、とりあえず帽子を脱いで顔を上げると、テーブルへ肘をついてじっと自分を見る九流と目が合って驚いた。
なんとなく気まずくてざくろは視線を再び落す。
なにか話さなければと焦ったが、丁度コース料理が次々と運ばれてきてざくろはホッと息を吐いた。
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