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第71話

「先輩!!?」 まさかの九流の姿に目を見開いて大声を出す。 「てめぇ、何ふざけた勘違いしてんのか知らねーけど携帯切って一人で帰ってんじゃねーぞっ!」 汗だくで走り寄り、思い切り怒鳴られてざくろは身を縮めて小さくなる。 「先輩・・・・」 何と声をかけていいのか分からなくて俯いていた顔をそっと上げて九流を盗み見た。 頬を伝う汗を乱暴に腕で拭う姿は絵に描いたようにかっこよくてこんな状況なのにざくろは見惚れてしまう。 「あちぃ・・・。暑くてイラつきが倍増する。どっか入るぞ」 相当苛ついているらしく、ざくろの腕を力任せに掴んで九流は近くのカフェへと入っていった。 店内はそこそこ混んではいたが席は確保できて九流は店員が出してきたレモン水を一気に飲み干した。 「アイスコーヒー。お前は?」 「え、えっと・・・アイスカフェオレお願いします」 急いで注文すると、店員は畏まりましたと頭を下げて消えていった。 ざくろも喉が渇いていた為、目の前のレモン水へ口を付ける。 スッとして疲れも一瞬飛んだが、本当に疲れるのはこれからだった。 「っで?何でこんな事になってんだ?」 めちゃくちゃ怒って凄むように聞いてくる九流にざくろは恐怖で固まる。 「デートの邪魔って言ってたけど俺、お前とデートしてるって言わなかったか?そのお前が邪魔ってどういう意味なんだ?」 睨んでグラスをギリギリ握りしめる九流にざくろは冷や汗をかく。 「お前、自分の言いたい事だけ言って携帯の電源切っただろ?ふざけんなよ!どれだけ心配したと思ってんだ!俺とのデートがそんなにつまんねーか?嫌だったのか!?」 どんどんヒートアップして声を荒げる九流にざくろはぶんぶん首を横へ振った。 ただ、なんて答えればいいのか分からず言葉が出てこなくて気ばかりが焦る。 そうこうしていると九流が机をバンっと大きく叩いてざくろに詰め寄った。 「黙ってないで、なんとか言えよっ!」 「っ!!」 大きな音と怒鳴り声に体を跳ねさせて俯くと、周りは恋人同士の喧嘩だと勘違いして聞き耳を立ててきた。 それもまた恥ずかしくて俯いていると店員が注文したアイスコーヒーとアイスカフェオレを持ってきて机に置いた。

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