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第75話
三人はどこかお店へ入ろうとなった時、あきらのアイスクリームが食べたいの一言でアイスクリーム屋へ行くことになった。
「ここのアイス美味しいから大好きー!」
お店のイートインコーナーで荷物を置いてメニュー表を見るあきらに九流は聞く。
「あきらちゃんは何にする?」
「えーと・・・。お兄ちゃんはー?」
「え?俺!?・・・えっと・・・・」
永遠と決まりそうにないほどメニュー表を食い入る様に見つめ続けるざくろにあきらが溜息を漏らした。
「私、ストロベリーとキャラメル食べたいからお兄ちゃんがキャラメルにして?」
「え!?うん!いいよ!」
決められなくて困っていたざくろはあきらのお願いに安心したように頷いた。
「ざくろ、俺はバニラにする。買ってきてくれるか?」
「はい」
頷くと九流に財布を手渡され、アイスを注文しにざくろは走って行った。
その後ろ姿をあきらは嬉しそうに見つめて笑う。
「お兄ちゃんのあの服、九流先輩が着せてくれたんですか?」
「え?ああ・・・」
「凄く可愛いー。お兄ちゃんに凄く似合ってる!ありがとうございます!」
笑顔でお礼を言ってくるあきらは外見も内面もざくろとは似ても似つかなかったが甘え上手で笑顔を絶やさないことで愛嬌の良い女の子だった。柔らかな雰囲気を持つことで九流自身、親しみも持てた。
「ざくろの好みとか教えて貰えないか?」
あきらとの距離を少し縮めて頼むように九流が聞くと、一瞬驚いた顔をしたがなるほどと笑顔になる。
「お兄ちゃん、リアクション薄いから分からないですもんね。自分のことは常に後まわしにしちゃうから自分でも好みが分かってないんですよ」
ざくろを見ながら少し悲しそうに言うあきらに九流も視線を向ける。
ざくろは店員に丁度アイスを注文していてふと、こちらを見るとヒラヒラ笑って手を振ってくる。
それに対してあきらは満面の笑顔で両手をぶんぶん振り返した。
「・・・本当にざくろが好きなんだな」
あきらを見て言うと大きく頷かれた。
「大好き!私にはお兄ちゃんしかいないですから」
「・・・親は?」
「・・・・・」
お兄ちゃん、お兄ちゃんと肉親にやたら拘っていそうだったから親の事を聞くと、あきらは一瞬で暗い顔になった。
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