78 / 229
第77話
九流からの意外なお願いにあきらは目を丸くした。
「どうも、甘え方が分かんねーみたいなんだ。人との関わりもそんなに持たない奴だから余計にそうなのかも。あきらちゃんの甘えてくること以外、学べるものがないんだよ。だから、今日はざくろと俺に力一杯甘えてくれないか?それをあいつに教え込んで欲しい」
「・・・・・それを教え込んでお兄ちゃんは誰かにちゃんと甘やかせて貰えるんですか?」
上目遣いで心配そうに聞いてくるあきらに九流はニヤリと笑って自分を指差した。
「俺が溺愛してやるよ」
その一言にあきらは驚くものの嬉しそうに微笑む。
ざくろの人に甘えない性格はあきらもずっと不満をもっていた。
「約束ですよ!お兄ちゃん泣かせたら許しませんからね」
ニッと笑って頷き、あきらは協力することを了承した。
「お待たせしました・・・。って、何話してたの?」
両手にアイスを持って帰ってきたざくろは仲良さそうな二人に笑顔で聞くと九流が意地悪に笑って答えた。
「俺とあきらちゃん、気が合いそうだなって話」
「ふふふ。九流先輩優しい人みたいで安心しちゃった。それよりお兄ちゃん!隣に来てぇ〜」
ざくろを隣へ座らせるとあきらはざくろにぺっとりくっ付いてアイスを手に持った。
「ストロベリー美味しい!」
スプーンですくって一口食べるとあきらは笑顔になる。
ざくろも自分のものを食べようとした時、隣のあきらがあーんと口を開けた。
「あきら、食べるの?」
「食べる!」
アイスを差し出されてあきらは首を横へ振った。
「お兄ちゃんが食べさせて!」
「えぇ!!どうして?」
「今日は長い時間いられないから甘えたいの!」
お願いと見つめてくるあきらに仕方ないなとキャラメルアイスをスプーンですくってあきらの口へ運んでやった。
アイスを食べ終えた後もあきらの甘えっぷりは爆発する。
膝の上へ抱っこして欲しいと言ったり手を繋いで欲しいとお願いしたりしてくるあきらに参ったなと困りながらもその要望にざくろは応えていった。
書籍の購入
ともだちにシェアしよう!