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第79話

三人は食事を終えるとタクシーに乗ってあきらを家まで送り届けた。 最後の最後まであきらはざくろにべったりくっ付いて、別れ際は恋人さながらのシーンとなった。 また来月の第3日曜日に会おうと泣きそうになるあきらを宥め、ざくろと九流はタクシーに乗って寮へと戻った。 寮へは門限の10時前に着き、九流はざくろを部屋の前まで送り届けた。 「先輩、少し待っててもらえますか?」 ざくろは帰ろうとする九流を呼び止め、部屋に入ると財布を持って急いで戻ってくる。 「あの、今日はすみませんでした。足りるか分からないんですが今、手持ちがこれしかなくて!必ず残りは返すんで!ありがとうございました」 財布から五千円札や千円も混じった10万円程ある金額の札束を九流へ手渡す。 「いらねーよ」 「駄目です!」 「いいから」 「よくないです!」 受け取ろうとしない九流に服のポケットへお金を入れようとした時、その手を掴まれて呆れたように溜息を吐かれた。 「本当、甘え下手だよな。ここは笑顔でありがとうございます。で終わっとけばよくね?」 「あんな高い服も買ってもらえないし、妹との食事代やタクシー代なんて出してもらえる訳ないでしょう!?」 「そうか?俺は別に何とも思わねーよ」 「俺が思うんです!もう、受け取ってくださいよ」 頼むからと困った顔をすると九流は肩を竦めた。 「なんでそんなに奢られたくないんだ?」 「なんでって、先輩に奢ってもらう理由がないからです」 突っぱねるように言うと九流は掴んでいた手を離して嫌そうに顔を顰めた。 「可愛いくない奴だな・・・。妹の事、ちょっとは見習えよ」 「・・・・・」 あきらの事を引き合いに出されざくろは不機嫌な顔になる。 「お前もさ、あきらちゃんぐらい甘えてみれば?」 「・・・・・」 「それくらいの愛嬌があったっていいだろ?その方が人生も得だぞ?」 「・・・・・」 「甘える練習しろよ。俺が相手役してやるから」 九流はぽんぽんと頭を叩いてきて、ざくろはその手を思い切り振り払った。

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