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第87話

side 九流 あの素直じゃない性格なんとかならねーの? やる事やってて、好きって気持ちがあるなら付き合ってくれてもいいだろ? なんで付き合えないんだ? もしかして、好きって言うのはリップサービス? ざくろの性格からしてあり得ないわけでもなさそうで九流は冷や汗を流した。 とりあえず、今日中にでも説得して必ず付き合ってみせる 長期戦になると変な意地張りそうだしな・・・・ 九流は自分の教室へ向かっていると後ろから不機嫌な声に呼び止められて振り返った。 「たーけーるぅーーーーー」 「・・・・・なんだ、お前か」 怒りに顔を歪ませる幼馴染みの門倉を前になんてことないと肩をすくめる。 「お前かじゃないっ!朝の生徒会会議サボんなよ!」 「あぁ~。そういや、そんなのもあったな」 「あったなじゃないっ!!ほらっ!これにサインしろよ!そんでもって、先生に提出しとけ!」 バンっと胸へ一枚のプリントを押し付けられてそれに目を通した。 8月30日、31日は最後の夏休みという事もありパーティーを催すという内容だった。 一般客も入場可能で家族の参観も兼ね備える行事で生徒会メンバーは馬車馬の如く働かねばならない。 「これ、去年で無くなったと思ったけど今年も確定したんだ?」 「お前の粗相のおかげで無くなりそうだったけど守り抜いたんだよ」 「・・・・」 嫌味たらたらで言葉を返してくる門倉に九流は顔顰める。 「今年は西條がいるし大丈夫だと思うけど派手に遊ぶなよ」 「遊ばねーよ」 「働けよ」 「・・・・・」 「絶対サボんなよっ!」 「分かった、分かった!」 念を押してくる門倉にうるさいと九流は手を振ってあしらう。 昨年、生徒会候補メンバーであった九流と門倉も生徒会役員の手伝いを任されていたのだが九流は一般客の女性客数名とその仕事を門倉に押し付けてあちこちで不純性交遊に老けていた。 それが、教師に見つかり大事になったが当時の生徒会メンバーと門倉が必死に弁明してお咎めなしになったのだ。 今年こそはそんな事をする暇もないぐらい働いて欲しい門倉は溜息を吐く。 「西條とも時間取れないだろうから周る約束しないように」 「はぁー!?なんでだよ!ふざけんな。絶対ヤダね。俺はざくろと周る」 「仕事しろ!俺だって綾と周りたいの我慢して・・・・」 門倉がぴたりと言葉を止め、九流は首を傾げた。 「30日、お前が俺の仕事も引き受けてくれるなら31日は俺がお前の仕事全部引き受けてやるよ」 いい事を思い付いたと手を叩いて門倉は笑う。 「やだよ。お前の仕事の方が分量多いだろ?」 「うるさい。ワガママ言ってると二日とも潰れるぞ!生徒会メンバーには特典もあるからな」 「なにそれ?」 門倉はふふんっと笑って九流の持つ紙を指差した。 それを九流は眉を顰めて見ると一番最後の行に職権乱用としか取れない特典内容が記載されていた。 『生徒会メンバーのみに教師であれ生徒であれ立春高校関係者にのみ一度限りの命令を下せる』 つまり、門倉率いる生徒会メンバーはこの二日間の間、学校内の者にどんな命令でも一つ叶えさせる力を持つというのだ。 「これはこれは・・・・・」 楽しいなと九流は不敵に笑って頷いた。 side 九流 終わり

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