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第88話
「先輩っ!先輩、いますか!!?」
夕刻、学校から寮の部屋へ帰ってきて一息ついている時、部屋の扉がガンガン叩かれて九流は顔を向けた。
焦った声で自分を呼ぶのはざくろの声でソファから立ち上がってドアを開いてやる。
「遊びに来たのか?」
嬉しそうに笑うとざくろは顔を青くして叫んだ。
「家具っ!俺の部屋に運ばれてるんですけどっ!!」
家具と言われて日曜日の家具屋を思い出し、関心したように声を上げた。
「ああ!早いな。もう着いたのか?」
九流はざくろの部屋へ足を向けて歩き出すと、青い顔のざくろが恐る恐る聞いてきた。
「先輩、何かの間違いですよね?模様替えするんでしょう?」
「ああ。模様替えする。・・・お前の部屋をな」
耳を疑う台詞を最後に付けられて、くらりと眩暈を起こした。
「あれ、もしかして俺の部屋のもの買ってたんですかっ!?」
問い詰めるように大声で聞くと九流は大きく頷いた。
「ぅえぇぇぇぇぇぇーーー!!!」
もう、なにをどう突っ込んでいいのやら頭を抱えてその場に立ち竦むざくろの手を引いて九流は楽しそうに笑った。
「ほら、配置とか決めなきゃ駄目だから早く部屋行くぞ」
部屋へ着くと業者の人間が四人いて待っていた。
固まるざくろを部屋の隅に置いて九流はベッドや箪笥、ラグにテーブルにソファと配置場所を指示していく。
白で統一を決めたのか家具は全て真っ白でとても清潔感があった。
そして、家具の全てが丸みを帯びていることで可愛らしい印象を受けた。
四人の業者の人達によってざくろの部屋は一瞬で殺風景なものから柔らかく可愛らしい清潔感のある部屋へと模様替えを終えた。
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