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第89話

「ざくろ、来いよ!座り心地いいぞ」 ソファへ座って手招きする九流に額を押さえる。 「ベッドも広くなったし、これなら一緒に寝れるな」 ツインサイズのベッドを指差して嬉しそうに笑ったあと、腕を組んで冷蔵庫を見つめた。 「次は電化製品だな」 ポツリと呟く九流にざくろは焦って首を横へ振った。 「電化製品だなじゃないっ!先輩!!何やってんですか!?」 「何って、模様替え」 「そんなの自分の部屋のしたらいいでしょ!俺の部屋のことなんて放っておいて下さいよ!」 「別にいいだろ?それとも気に入らないのか?」 「気にいる気に入らないじゃなくて、ここ俺の部屋なんですよ!」 「ああ。だから少しでも過ごしやすくしてんだろ?」 近寄ってきたざくろをご機嫌に抱きしめてソファへごろりと九流は横になった。 抱きしめられている為、押し倒すような形でのしかかるざくろは話が通じない九流にイライラし始める。胸に手を当て、顔を上げると切実に告げた。 「俺にお金使うのやめて下さいっ!」 「好きな奴に金使うのは俺の趣味みたいだから無理」 「そんな趣味困ります!迷惑です!」 「それはお前が諦めろよ。っで、朝の話だけどいつ付き合うんだ?俺もお前も両想いなんだから。渋る必要ねーだろ?」 「渋ってるん訳じゃありません。だいたい先輩、俺と付き合ってどうしたいんですか!?」 「お前の特別になりたい」 ズバっと答えられて予想外の言葉に詰まった。 理解出来なかった言葉の意味を考えると、だんだん嬉しさから頬が熱くなるのを感じ顔を俯かせた。 「・・・・・もう、特別です」 ポツリと呟くざくろに吸い寄せられて手を伸ばし、髪を撫でるとゆっくり顔をあげさせた。 目と目が合って揺れる瞳を向けてくるざくろは静かに続ける。 「俺にとって九流先輩は特別ですよ。先輩が俺から離れない限り付き合わなくたって俺は先輩が好きだし、側にいていいって言ってくれるまで側にいます。約束します。だから・・・」 「付き合いたくない?」 瞳を反らすざくろに九流が聞くと、ざくろはコクンと頷いた。

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