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第97話

「ファミレスで良かったの?」 近くのファミレスを指差すあきらに従い、そこへ入ったがもっと良いところへ連れて行ってやりたかった手前、少し不服そうに聞いた。 「うん!ここが良かったの!バイキングしたかったの!」 うふふと笑って、お皿を持つあきらはお店の中央に配置されているバイキングエリアへ向かっていった。 寮で朝食を食べたざくろはお腹が空いていなくてドリンクバーだけを注文し、レモンティーを飲んでいた。 「美味しい!マカロニサラダ凄い美味しいー」 「良かったね」 よほど気に入ったのか何度も何度もお皿にマカロニサラダを盛りにいくあきらにざくろは笑顔になる。 「今夜作ってあげようか?」 ふふっと笑って聞くとあきらは目を輝かせた。 「本当!!嬉しいっ!お兄ちゃんの手料理大好き!」 「大袈裟だなぁ。一緒にいる間はまた俺が作ってあげる。リクエスト受け付けるよ」 優しく微笑むざくろにあきらは子供のようにはしゃいだ。 オムライスにカレーライス、カルボナーラにハンバーグ、ドリアにコロッケと幼い子供が食べたがるメニューばかり注文してくるあきらにざくろが笑う。 「帰りにスーパーへ寄って帰ろう」 家に材料があるのか知らないがざくろが誘うとあきらは嬉しそうに何度も頷いた。 朝食を食べ終え、まだ家に母親がいたら嫌な事から二人はそのまま映画観に行った。 あきらが観たがったお伽の国の話を弄ったファンタジー映画はざくろにとったらファンシー過ぎて全く興味をそそるものではなかったが見始めるとそこそこ面白かった。 あきらは相当楽しかったらしく、映画を見終えた後も映画の話題を興奮しながら話していて、カフェに入ってお茶をしながらもそんな妹に付き合ってやった。 そんなことをしていたら夕刻になって、二人はカフェから出てスーパーへ向かおうとした時、ざくろの携帯電話が鳴った。 ディスプレイの表示された名前を見ると電話の相手は九流からでざくろの心臓がドキッと高鳴った。

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