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第98話

「あきら、ごめん。九流先輩からの電話出て良い?」 「うん。いいよー」 あきらへ確認してからざくろは通話ボタンを押す。 「もしもし」 『もしもし、ざくろ?』 「はい。お疲れ様です」 少し疲れた九流の声にざくろは心配になった。 生徒会の仕事が立て込んでいるのだろう。九流の周りは少し騒がしい。 「まだ、お仕事中ですか?」 『ああ。すげぇ、門倉ウゼェー』 愚痴と共に友人の悪口を言ってくる九流の横で酷いなと門倉の声が聞こえる。 なんだかんだと楽しそうにしている九流の姿が目に浮かんでざくろは笑顔になった。 『休憩なんだけど、お前の声聞きたくて。何してんの?』 「あきらと映画行ってました。今からスーパー寄って帰る所です」 「九流先輩、こんにちはー!今からお兄ちゃんにご飯作ってもらうの!」 ざくろの腕に抱きついてあきらは電話から漏れていた九流の声のタイミングを見計らってざくろから電話を奪いとった。 「ちょっ・・・!あきら!?」 「うふふ、いいでしょー!お兄ちゃん、お料理上手なの!先輩、食べに来ませんかー?」 「あ、あきら!」 九流と二言三言交わした後、とんでも無い事を言い始めたあきらにざくろは携帯電話を取り上げて九流へ謝罪した。 「先輩、すみません!気にしないで下さい」 『え?あぁ、行ってもいいんだったら行きたいんだけどいいのか?』 九流の嬉しそうな声にざくろはフリーズした。 『今日までこっちに泊まろうと思ったけど急げば7時には帰れそうなんだ』 「えぇ!?いやいやいや!そんな、無理しないで下さい」 『無理してねーよ!お前に会えるなら嬉しい以外ないだろ?』 「いや、でも・・・、俺のご飯は止めましょう。外!外へ食べに出かけましょ!」 『なんでだよ?折角なんだし食わせろよ。外で食うよりそっちの方が嬉しい。じゃあ、楽しみにしてる』 そう告げると九流は電話を切ってしまった。

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