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第101話

もうすぐハンバーグも蒸し上がるという時、家のインターホンが鳴ってざくろの心臓が飛び跳ねた。 九流が来たのかと思うと嬉しい気持ちと恥ずかしい気持ち、そしてよく分からない焦りが生まれる。 ざくろの無表情の顔が緊張感で強張るのを見て、あきらが代わりに玄関へ走って行った。 ほどなくして、あきらの嬉しそうな声が聞こえてくる。 「お兄ちゃん!九流先輩だよー!」 予想通りの言葉にコンロの火を切って、玄関へと九流を迎えに走った。 「よぉ!」 学校の制服を着た九流は両手いっぱいに手土産を持って登場した。 「業務、お疲れ様でした」 はにかむ笑顔で労いの言葉をかけ、来客用のスリッパを出して靴を脱ぐ九流を家へ招いた。 「お邪魔します」 短い廊下を歩き、リビングに着くと九流はあきらに大量の手土産を渡した。 アイスにケーキ、クッキーにパン、チョコレートに饅頭と超有名店のお菓子がどっさり入った紙袋にあきらは、はしゃぐ。 「気を遣わせてすみません」 申し訳なさが込み上がってざくろが深々と頭を下げると九流はその頭をぽんぽん叩いてテーブルの上のご馳走にピューっと口笛を吹いた。 「これ、全部お前が作ったの?すげぇー!」 料理をしない九流からすればお米を炊いた時点で賛賞ものなのにハンバーグやスープ、サラダまで準備されている事に感激した。 「口に合わなかったら無理しないで下さい!直ぐにデリバリーの準備出来てるんで!」 寿司にピザに中華とチラシを並べ、ざくろが言った。 「お前の作ったもんに敵う食いもんなんてあんのかよ?」 九流はそれらをまとめてゴミ箱へ捨て、笑って席に着くとその行動を見たざくろは嬉しい気持ちに頬を赤くしながら九流の目の前の席に座った。 あきらは一通りお土産に目を通し、冷やすべきものは冷蔵庫や冷凍庫へ片付けたあと、ざくろの隣の席に腰掛け、九流へ言った。 「お兄ちゃんのハンバーグ、美味しいんですよ」 えっへんと、自分が作ったわけでも無いのに胸を張って威張るあきらにざくろは苦笑し、九流は楽しみだと手を合わせた。

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