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第103話
「ご馳走様でした」
結局、ざくろはあれから一口も食べられないほど緊張してしまいご飯を残す羽目になった。
しかし、それら全てを九流が綺麗に平らげてくれたことで食材は無駄にならずに済み、嬉しかった。
食器を洗って綺麗に片付けるとあきらと九流がソファに並んで座って、テレビを見ながら話し込んでいる。二人の並ぶ後ろ姿が微笑ましくて自然と笑みが溢れた。
何を話してるのか分からなかったが、食後の口直しにと買っておいたメロンを食べやすいようにカットして皿に盛ると二人の前へ出した。
「デザート、良ければどうぞ」
声をかけて顔を見るとニヤリと嫌な笑みを浮かべる二人に固まる。
「な・・・、なに?」
少し逃げ腰になった自分を九流が手を掴んで引き寄せた。
「メロン、俺が食べさせてやるよ」
「は?」
言われた意味が分からずいると、あきらが口添えした。
「お兄ちゃんにどっちがより甘えて貰えるか競うことにしたの」
何、その変なゲーム・・・
全然、嬉しくない
「いや、いらないです。自分で食べれます」
身を引いて丁重にお断りするが、九流は備え付けのフォークを使わずに素手でメロンを手に取り、ざくろの口元へ差し出した。
「ほら、口開け」
「うっ・・・」
どうリアクションしていいか分からず固まっているとあきらが口を指さして教えてくれた。
「ほら、お兄ちゃん!あーん、だよ!!あーんって口開けて」
「むっ・・・ゴホッ、ゴホッ・・・」
言われて固く閉じていた唇をそっと開くとそこへねじ込むようにメロンを詰め込まれ、果汁でむせかえると大きな掌が背中をさすってくる。
あきらも心配でソファから立ち上がった時、テーブルに置いていた携帯電話が鳴った。
それはあきらのもので、ディスプレイを隠すように携帯電話を手に持った。
「あっ!ちょっとごめん。電話してくるから待ってて」
早口で捲し立てて、二階の自分の部屋へバタバタと走り去るあきらを二人は見送った。
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