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第107話
大丈夫・・・
あきらはまだ中学生だから
彼氏が出来てもお嫁に行くわけじゃない
まだまだ自分を必要としてくれる
まだ、俺に価値はある
深呼吸して震える自分の手を握り締めながらざくろは心の中で何度も同じ事を呟いた。
自分の存在価値が見出せないざくろはあきらが唯一、心の拠り所だった。
甘え上手で幼い時から自分の事を心から慕っては必要としてくれるあきらに知らぬ内に依存していた。
あきらがではなくざくろがあきら無しではもう生きられなくなっていた。
身体を売る汚いこの仕事も必死に耐えられたのは妹のあきらがいたからだ
もし、妹がいなければ両親に育児放棄され、とっくに餓死してここには存在していなかっただろう
あきらがいたから・・・
守りたい存在に支えられてきた
何でもするから
必要として欲しい
どんな事だってする
邪魔にならないように幸せを願うから
捨てないで・・・・・
指先が白くなる程キツく握り締めた拳をざくろは額に当てて何度も祈り続けた。
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