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第109話

お風呂から上がって時計を見ると時刻は23時半を回っていて、ガクリと肩を落とした。 携帯電話でお菓子やケーキが人気な店の情報を調べるも、やはり開店時間は10時からでざくろは撃沈した。 「まさか、手ぶらで伺うなんて失礼過ぎてできない・・・」 ちらりと今日、九流が爆買いしてきた手土産の数々を横目で見て溜息が溢れる。 キッチンへ入り、冷蔵庫を開けてざくろは風呂場で思い付いた案を決行する為、卵を取り出す。 「・・・・・久々だけど作れるかな」 小さな声で呟くとざくろはエプロンを装着し、明日の手土産で持っていく為のシフォンケーキを作り始めた。 次の日、ざくろとあきらは8時に起きた。 ざくろの手料理で、魚に豆腐の味噌汁、出し巻き卵に納豆と和食の朝食を二人は食べ終えると九流の家へ行く支度を始めた。 ざくろは朝食の片付けと掃除も洗濯を終わらせて昨夜手土産にと作ったシフォンケーキを箱に詰める。 「お兄ちゃん、掃除や洗濯は私がするから良かったのに!」 化粧に着替えと支度が整ったあきらが言うとざくろはにこりと笑ってエプロンを取った。 「別にいいよ。それより、髪は結わなくていいの?」 白い膝丈のピンクと黄色の花柄のワンピースを着たあきらに結ぶと可愛いよと、アドバイスするとあきらはゴムとピンを持ってざくろの前にちょこんと座った。 「お兄ちゃん、髪の毛やって!」 「えぇ!俺が!?」 「うん!だって、お兄ちゃん上手だし。編み込みがいい!」 幼稚園、小学校年少の時はよく髪を結ってあげていたが、小学校年長になるに連れてあきらは自分で髪を結っていた。久々の感覚にざくろは戸惑いながら、さらりとした癖のないストレートな髪に触れる。心地が良くて昔と変わってないなと笑顔になる。 器用な指先で長い髪をリクエスト通り編み込みしていき、最後にゴムで結んでやった。 「ありがとう」 鏡を見て嬉しそうに笑うあきらに和んでいると、家のインターホンが鳴り、時計を見ると9時50分で、九流の迎えが来たのだと二人は玄関へ向かった。

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