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第121話

「お前のもの?」 予想外の言葉に驚く勇からざくろを奪い返して胸に抱きしめた。 「そうだ。俺のもんだ!だから気安く触んじゃねーよ」 「・・・そうなの?」 目を丸くして聞くと、困った顔で小さく頷くざくろに勇は弟を見た。 明らかに訳ありな雰囲気のざくろに対して、かなりの執着心を見せる弟に勇は訳を聞こうと口を開いたが思い留まって代わりに、にこりと微笑んだ。 「分かった。じゃあ、今日は俺が引くよ。その代わり、今度は俺の為に家へ来てくれる?その時に教えてよ」 「教える?」 嫌そうに聞き返してくる弟に勇は大きく頷く。 「シフォンケーキ。凄く美味しかったから教えてもらう約束したんだ」 「美味しかったって、何で兄貴がケーキ食ってんだよ!」 「ざくろ君が捨てるって言うから貰ったんだ」 「俺が貰ったんだから俺のもんだ。返せよ」 「えー、そうなの?でも、もう全部食べたからないよ」 「はぁ!?ふざけんなよっ!」 声を荒げる九流に勇は笑顔で交わしていく。 「はいはい。ごめん、ごめん。でも、猛だって悪いぞ?ざくろ君泣かしてシフォンケーキと一緒に追い返して。俺が引き留めてなかったらもうざくろ君、帰ってたぞ?そのお礼としてシフォンケーキぐらい、いいじゃんか」 自分に感謝しろと言わんばかりの勇に九流は舌打ちするとざくろの手首を掴んで踵を返した。 「うっせぇ!とりあえず、もうこいつに関わんなよな!」 大きな声で怒鳴ると、九流は自分の部屋へざくろを引っ張り、戻っていった。 申し訳なさそうに振り返って勇を見ると、口パクで「またね」と告げて手をひらひらと振られて、ざくろは小さく頭を下げた。

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