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第123話

「悪かった・・・・」 混乱する頭に一言、その言葉だけが九流の中に浮かんだ。 腕の中で小さく震えるざくろの身体をキツく抱きしめるとピークだった怒りは急降下していき、九流を冷静にした。 「俺が悪かった・・・。ごめん」 本来、ざくろに謝るつもりで部屋を飛び出したのだ。 だが、玄関に行っても外へ探しに行ってもざくろの姿はなくて諦めかけたとき、兄と楽しそうに話すざくろを見つけて頭の中が真っ白になった。 帰らずにいてくれた事は嬉しかったが自分よりも今日初めて会う兄へ懐いている姿にブチリと自分の中で何かが切れたのが分かった。 悔しさと悲しさと自分の不甲斐なさにどうしていいか分からなくて怒りをぶつけてしまった。 理不尽な八つ当たりに怒っていいはずのざくろは九流の怒りに真っ向から向き合い、悪くもないのに頭を下げて謝罪をしてきた。 その姿にまた苛立った。 だけど、ざくろの泣き顔で我に返ると胸が痛かった こいつに泣かれると胸が痛い・・・ 苦しい・・・ いつも最後は泣かせてしまう自分に自己嫌悪に陥ってしまう。 ざくろの正直な気持ちを聞かせて欲しい 遠慮なんてせずにどう思っているのか怒ってもいいから教えて欲しい 直ぐ、自分が悪いのだと謝るのではなくぶつかってきて欲しい いつもこれはざくろの性格なのだと思ってきたが本当に性格だけの問題なのかどうなのか段々分からなくなってきた。 自分の判断に自信が持てなくて九流はざくろをキツく抱きしめてお願いするように囁いた。 「ざくろ・・・、一度ちゃんと話し合おう」

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