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第126話
あきらが徐々に物心がつく2歳の時、ざくろは5歳になる。
両親に対して全てを諦め、あきらと生きていくのに必死なざくろのサバイバルは始まっていた。
あきらもまた母親を恋しがるものの自分を省みないあげはに絶望して兄へ全てを託していた。
そんなある日、すこぶる機嫌が悪い京介が家へ帰ってきてヨタヨタ歩いて近寄るあきらを思い切り蹴り飛ばした。
2歳のあきらはもちろん大声を上げて泣きわめくのだがその泣き声に更に激怒した京介はあきらへ拳を振り上げる。
強張る体を必死に動かしてあきらを抱きしめざくろが代わりに京介の暴力に耐えた。
そんなことは年に数回起きて、ざくろが救急車で搬送された事もある。
こうした日常のなか、あきらの心にも途方もない絶望が広がっていった。
無情な日々の中、2人の心と体は成長していく。
ギャンブルとお酒に夢中な両親に二人は毎日食べる物に困っていた。
両親が家へいない間にざくろは近所のスーパーやコンビニのゴミ箱を漁っては食べられそうなものを調達し、それらを綺麗にお皿へ盛ってあきらに食べさせていた。
自分もお腹が空いてはいたが小学生になったざくろは昼間の給食で一日の食事を賄っていた。
また、パンなどでおかわりが出来る時は妹へと持ち帰ってもいた。
あきらはそれらを生きる為に必死に食べるしかできなかった。
小学生の時から徐々にざくろの美貌は輝き出し、どれほど薄汚れていても周りの視線を集め始めた。
時に大人達から食べ物のほどこしを受けれるメリットがあったが同年代の子供からはイジメの対象になるデメリットもあった。
ゴミを漁る貧乏人。着る服も汚いとざくろとあきらは日々イジメられてきた。
わんわん泣く妹が横にいたからかざくろはあきらの前で泣くことは一度もなかった。
まだ小さくて妹同様泣きたいはずなのに歯を食いしばり、あきらの心を慰めることのみに専念した。
そんなイジメもざくろが中学校へ上がった時、ぴたりと止んだ。
代わりにざくろを艶めかしい目で見る輩が増えた。
同級生達からのイジメはなかったが、遠巻きにされてしまい一人で過ごす事が多かった。
部活に所属はしてはいなかったが二年生、三年生の先輩達は積極的にざくろへ声をかけてきた。
パンやお菓子などを差し入れでくれる人ばかりでいつも無邪気に喜んでいた。
そんなざくろも中学三年生になる。
可愛がってくれていた先輩達もいなくなり、焦り始めた時、新聞の配達員の募集が目に止まり人生初めてのアルバイトをする事にした。
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