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第128話
細田が用意したざくろの記録を九流は黙々と読んだ。
一番最後のページをパタンと閉じて目を通し終わると、その様子を見ていた細田が九流からファイルを受け取る。
「西條ざくろ様の貯金額が先程分かりました。銀行口座には一千万円程しかありません。ただ、妹のあきら様の方へどうやら貯金されているようで・・・」
「もういい」
細田の報告する声を遮り息を大きく吐いて天を仰ぎ目を閉じる。
自分が思っていたより暗い過去に気分が落ちた。
壮絶な生い立ちを知ったからといってざくろへの気持ちが変わる事はなかったし、むしろ大切にしてやりたいと思う気持ちの方が大きくなった。
「ざくろは実質、金には困ってないんだな?」
「はい。大丈夫なようです。妹様も月に30万円頂いていたようですが毎月使われている額は食費と雑費で5、6万円といった金額で節約をされていて貯金されております。ただ・・・」
少し言葉を濁し言いにくそうにする細田へ目を開き、視線を向けた。
「西條様のご両親がざくろ様、あきら様へお金を無心しておられますね・・・」
その報告に九流はこめかみを抑えた。
この親がどうも厄病神のようだ・・・
しかし、腐っても親
ざくろとあきらがどう思っているのか九流には分からない
自分の考えを押し付けるならば今直ぐ排除することを勧めたい
九流はカレンダーを見て目を細めた。
明日は学校の寮へ戻る日だった。
明日からはまたざくろと会おうと思えば直ぐ会える。
嬉しい気持ちとこの過去を知って普通に振る舞える自分が疑わしくて不安が込み上がった。
「細田、ありがとう。もう、下がってくれ」
考え事をしたいと告げると細田は深々と頭を下げて部屋を出て行った。
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