132 / 229

第131話

「え・・・?」 意味が分からないざくろは眉間に皺を寄せた。 「いきなりどうしたんです?」 苦笑しながらレモンティーをテーブルの上に置くざくろに、近くの鞄の中からA4判の茶封筒を取り出した九流は例の報告書を渡した。 「お前のこと調べた。出生から全部」 「っ!」 包み隠さず素直に言うとざくろは一瞬驚いた顔をして顔から表情を消した。 「・・・・・見てもいいですか?」 茶封筒へ目を落として聞いてくるざくろに頷く。 ざくろは茶封筒から数枚の紙を手に取り、黙々と目を通した。 無表情なざくろからは感情を読み取れず、九流は息を詰める。 自分のことを勝手に知らない内に調べられていたのだ。声を荒げて罵倒してきてもいいぐらいなのにざくろは静かに今の状況を甘んじていた。 いや、表にださないだけで内心は怒っているのかもしれない。 とりあえず、本心は分からないがざくろが書面から顔を上げるのを九流はじっと待った。 「凄いですね。探偵ですか?」 一通り目を通し終えたざくろはにこりと微笑んで九流へ書類を返した。 「・・・・・怒らないのか?」 「怒る?何をです?」 「勝手にお前の事を知らない間に調べたんだ。気を悪くしないのか?」 「あぁ!そんな事ですか?別に何とも思いませんよ。俺が不審な事しないか心配だったんでしょう?俺はここの学校の生徒達のように名家でも何でもないですもんね。先輩の立場からしたら不審人物でしょうし、調べたくもなりますよ」 本当に気にも留めないようにざくろは笑顔で言ってのけた。 九流はなんとも後ろ向きの姿勢に眉を寄せた。 そんな不機嫌な表情の九流に苦笑しながら目を見て微笑む。 「心配しなくても大丈夫ですよ。先輩がここを卒業したらちゃんと先輩の前から消えますから。あなたの邪魔だけは死んでもしません。安心して下さい」 テーブルの上のレモンティーを手に取ってざくろはフフッと小さく笑った。 確実にこれは本心なのだと分かると、九流はテーブルをバンッと思い切り叩き、怒号を放つ。 「いい加減にしろっ!」 怒鳴られたざくろはビクっと体を跳ねさせて肩を竦めた。

書籍の購入

ともだちにシェアしよう!