140 / 229
第139話
帰省から寮へ戻ってきて付き合うことになったあの日から一週間、ざくろは九流の部屋に入り浸っていた。
と、いうより。
九流がざくろを離さなかったというのが正しい。
ここにいて良いのかな?
黒の高級ソファの上で体育座りをしながらバタバタ忙しく動き回る九流を目で追うざくろは困惑していた。
今日も朝から生徒会の仕事に追われる九流は忙しい。
「悪い。ちょっと学校行ってくる。昼過ぎには戻るから適当に遊んどいてくれ」
「はい。・・・行ってらっしゃい」
「ん。行ってくる」
制服を着た九流は今日は生徒会の集合があるらしく先週、部屋でこなした雑務の書類の束を持って部屋を出て行った。
ポツンと広い部屋で一人にされてどうしたものかと考える。
掃除でもしようかな・・・
ここ一週間、まともに自分の部屋へ戻っていないざくろは仕事をする九流とは違い時間を持て余していることから九流の部屋の掃除を担っていた。
今日は九流がいない事もあり、拭き掃除にも力が入る。
キビキビと無駄のない動きと段取りで掃除を終えると時計を見た。
時刻はまだ11時でまた暇になる。
「部屋に戻ろうかな・・・」
一週間まともに自分の部屋へ戻ってないざくろは荷物の整理も中途半端だったし、部屋の掃除もできていなかった。
そう考え始めると、いてもたってもいられず九流から貰ったこの部屋の合鍵で鍵を閉めて自分の部屋へと走って行った。
書籍の購入
ともだちにシェアしよう!