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第142話
次の日も九流は生徒会の仕事があると言って学校へ行ってしまった。
一人取り残され、やる事がなくて再び部屋の掃除をする。
その時、九流の勉強用の机の上にある卓上カレンダーが目に飛び込んできた。
31日まで丁度、2週間ある。
ざくろはソファに座って携帯電話を手に取り、ネットを立ち上げて検索を行う。
彼氏への甘え方と検索をかけると、大きく3つのミッションが出てきた。
・ 好きだと連呼
・ スキンシップは激しく
・ 自分の要望をハッキリ伝える
己の性格上、3つ目の自分の要望をハッキリ伝えるが一番ネックだと思った。
要望自体もともと無い自分にとってはこれ以上の悩みの種はない。
掘り下げて読んでいくと、食べたいもの、飲みたいもの、行きたいところ、欲しいもの、して欲しいこと、言って欲しいこと、これら全ての事を聞かれたら彼氏にすぐに答えられるようにしましょう。とのことだった。
また、時に反発して彼を困らせるのも男心をくすぐります。と記載されている。
「・・・・・・こんなの直ぐに思い浮かばないよ。それに、反発して先輩喜ぶの?イラついてキレない?」
携帯電話を握りしめ漠然とした不安に駆られて呟くと、握りしめていた携帯電話が震えた。
着信で相手は妹のあきらからだった。
「もしもし」
『もしもし、お兄ちゃん?今、電話大丈夫?』
「うん。平気だよ。何かあった?」
突然の妹からの電話に驚いたが、電話の向こうで笑って甘えた声を出すあきらに安心する。
『何にもない〜。ただ、お兄ちゃんの声聞きたかっただけぇ〜』
えへへと笑うあきらは幸せそうな声を出す。
純粋に可愛いと思った。
それと同時に甘え上手なあきらにふと先ほどの項目を思い出して試してみた。
「あきら、今度の日曜日どこ行きたい?何食べたい?欲しいものある?」
『え〜とね〜、いつも行くカフェのお店にフワフワのパンケーキが新発売したのー!それ、一緒に食べに行きたい!後ね、今ね髪の毛のヘアアクセが欲しくて星型とヒトデ型悩んでてどっちが似合うか見て欲しい!それで、それで〜・・・」
永遠と繰り出される要求にざくろは感嘆した。
あきら、凄い・・・
妹を尊敬したざくろはゴクリと唾を飲み込んで、恥を忍んで甘え方を教えて欲しいと申し出た。
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