144 / 229

第143話

「お兄ちゃ〜ん!」 いつもの待ち合わせ場所である広場の噴水前の待ち合わせ場所で自分の姿を見るなりあきらはぴょんぴょん跳ねながら笑顔で手を振ってきた。 駆け寄るとあきらは飛びついてくる。 「お兄ちゃーん!会いたかったよ〜」 嬉しそうに笑うあきらが可愛くてざくろもぎゅっと妹を抱きしめた。 今日は約束の第3日曜日ではないが昨日、電話をもらってあきらのこの甘え上手な振る舞いを学びたく、急遽会う約束を取り付けたのだ。 「あきら、予定あったんじゃないか?ごめんな?」 「お兄ちゃんより優先する予定なんて私にはないよ〜」 また可愛い事を言う妹にざくろは無条件でほだされていった。 二人はあきらが電話で行きたがっていたカフェでパンケーキを注文して一息ついた。 「私はお兄ちゃんに会えて嬉しいけど、いきなり会いたいなんてお兄ちゃんは何かあった?」 「え!?」 「九流先輩とケンカ?」 「いや、ケンカなんてしてないけど・・・」 パンケーキのセットで頼んだマンゴージュースを飲みながらあきらはにこにこ笑顔で兄を見つめる。 えっと・・・ 先輩と付き合う事になったこというべきなのかな? 笑顔の妹を前にそんな事を悩みながらレモンティーを飲んでいるとあきらはふふっと笑って小首を傾げた。 「九流先輩に告白でもされた?」 「ぶっ!!」 ドンピシャな質問内容にざくろがレモンティーを吹き出した。 「な、な、な・・・・っ!!!」 顔を真っ赤にし、口元を手の甲で抑える兄を呆れたように笑ってあきらは嗜める。 「いやいや、そんな乙女ばりの反応しないでよ〜。九流先輩、お兄ちゃんに超アタックしまくりだったじゃん。嫌でもわかるよ」 「嘘っ!本当に!?」 「・・・・・え、気付いてなかったの?激ニブもここまでくると犯罪だよ」 目を細めてありえないと呆れるあきらに申し訳ないですとざくろは視線を落として反省した。

書籍の購入

ともだちにシェアしよう!