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第144話
「っで!?付き合ったの?」
テーブルに身を乗り出し、目を爛々として聞いてくるあきらに顔を真っ赤にして視線を逸らしながら小さく頷く。
「きゃー!お兄ちゃん、おめでとー!!」
キャッキャッと喜ばれて恥ずかしさで消え入りそうになった。
まさか、妹に恋の相談とは情けなさ過ぎた。
それも男と付き合ってこれ程まで祝福されるのも如何なものだろうか。
「でも、九流先輩いちいちうるさそうだよね〜」
アハッと笑って九流を分析し始めるあきらに目を瞬かせた。
「甘えろとかワガママ言えとか俺を困らせてみろとか言って、ベタベタしたがりそう。嫉妬深そうだし、独占欲も束縛も激しそう〜」
ケラケラ笑うあきらが言うことはまさしく的を得ていてざくろはハハハと乾いた笑みを溢した。
「っで?甘え方教えて欲しくて私を呼んだの?」
またまた大正解を出され、小さく頷くとあきらはうふふと楽しそうに笑い、両手で自分の頬を包みテーブルに肘をついた。
「お兄ちゃんには九流先輩ぐらい強引でベタ甘な人がいいのかもね」
ぼそりと兄に聞こえないぐらいの声で呟くとあきらは携帯電話を取り出す。
「お兄ちゃん、私の友達呼んでいい?情報は多いに越した事ないでしょ?女子の甘え方講座でも開こう!」
意気込むあきらに圧倒し、ざくろは気がつけば意味が分からないまま頷いていた。
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