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第145話
「あきらのお姉ちゃん、めっちゃ可愛いー!」
「マジで人間!?人形みたい!可愛い過ぎー!」
あきらは学校で仲良しの友達を2人呼び出した。
二人共、髪は茶髪で今風の可愛らしい女の子達で、自分のことを身を乗り出して無遠慮に見てくることにざくろは石のように固まった。
「お姉ちゃん、人見知りするの。ごめんねー!」
ざくろの腕にベタッとくっついてフォローを入れるあきらに感謝する。
それと同時に兄ではなく姉と紹介された今の自分の容姿に羞恥で消え入りそうになった。
男と付き合ってるなら女の子として振る舞い情報を得るべきだと言われ、パンケーキを食べたあと、あきらは女物の洋服をざくろへ仕立てた。
ピンクのいくつものフリルが重なり合うシフォン生地のミニ丈キャミワンピに白い半袖パーカーを羽織らせられた。
スカートは嫌だと喚くと、仕方がないとワンピの下にデニム生地のホットパンツを履かせてもらえた。ヒール慣れしていないからと、リボンが大きく付いたぺたんこのサンダルを購入した。
ざくろは可愛いと何度連呼されようが、自分がただの女装した変態にしか思えず不安が募った。
スッピンでショートカットでも十分、女子に見えたが、あまりに不安がる兄にマスカラと色付きリップを塗って肩まである黒のウイッグをつけさせた。
出来上がりはまさしく美少女そのもので、人形のように愛らしい姿にあきらは勿論、道行く人はざくろを振り返った。
しかし、ざくろからするとそれがまた不安の一つで、自分が男で女装する変態だとバレて白い目で見られているのだと勘違いし、青ざめていた。
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