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第150話
「い、いらない!いりませんっ!!先輩、買わないでっ!!!」
あの後、誰もが知るハイブランドのジュエリーショップへ引きずるように連れて行かれたざくろは泣き叫んでいた。
「うるせぇ。どんなデザインのがいいかさっさと選べ」
「本当に要らないです!許して下さい!!」
涙目で宝石を前に要らないを連呼するざくろに店員も苦笑する。
「ダイヤだっけ?他の色付き石も買うか?オススメ持ってきてくれ」
「要らないですってばぁぁ!!!」
叫び続けるざくろを余所に店員はズラリと様々なデザインの宝石を用意した。
ざくろは見たくないと、そっぽを向くが九流はそれを無視して宝石を物色した。
「これとかどうだ?」
キラキラ輝くダイヤモンドの指輪を手に取り見せてくれる九流にざくろはガバッと抱きついた。
「先輩!宝石より美味しいもの食べたいです」
なにを言っても駄目ならばと、気持ちを切り替え、今日三人に仕込まれた甘えるという技術を復習と実践に起こすことにした。
「これ、買ったら美味いの食わせてやるよ」
「宝石より、洋服の方がいいです」
「服も後で買ってやる」
ダイヤの他にルビーやサファイアが埋め込まれた金のブレスレットが気に入ったのか九流はそれを手に取り、ざくろの腕を引っ張って嵌めさせた。
「に、似合わないです!」
ブレスレットは光り輝き自分には分不相応だと首を横へ振ると九流はこれにすると店員へ告げた。
「んで、あとはどれにする?これか?それとも・・・」
輝く指輪やブローチを手に持つ九流はざくろの指や胸元へあてる。
「本当にいりませんっ!使う事もないですし、やめてくださいっ!!!それ、買ったら俺、先輩と口ききませんからっ!」
甘える通り越して脅しになりつつあるざくろに九流は苦笑した。
「じゃあ、とりあえずこのブレスレットだけもらう」
カードを出して店員へ告げるとざくろは結局ブレスレットは買うのかと大きな溜息を吐いてうな垂れた。
「で?次は服と飯だっけ?」
ニヤニヤ笑って自分を見下ろしてくる九流にざくろはまだ買い物続行なのかと、がくりと肩を落とした。
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