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第163話
ワガママ・・・
今日も九流は朝から生徒会の仕事に出て行って、日課の部屋の掃除を済ませるとざくろはソファの上で体育座りをしながら頭を悩ませていた。
我儘ってどんなのなんだろ?
甘えると我儘って何か違うのかな?
携帯電話でネットを繋げて検索する。
「・・・なるほど、甘えるの度が過ぎたウザいバージョンが我儘か」
コクコク頷いて学習するざくろはふぅーっと、息を吐いてソファから立ち上がった。
「俺にはレベルが高いな・・・」
ウザい行いは自分にとってリスクが高すぎて怖い。
九流にウザいとか邪魔だとか思われるのが凄く嫌な自分としてはあまりにも大きなミッションだ。
「昨日買ってもらったコレも、本当にいいのかな・・・」
ベッド脇の棚に置いておいたダイヤモンドとルビー、そしてサファイアが嵌め込まれたキラキラ輝く金色のブレスレットをざくろは手のひらに乗せてざくろは呟く。
光物に疎くて興味はないし、欲しいとも一切思わなかったが、こうして見つめていると綺麗だなと心が奪われた。
それに加えて、九流からの初めての贈り物だと思うと嬉しさも加わる。
「俺も先輩になにか返したいな・・・。お礼がまさかウザがられる行為だなんて悲しすぎるよ」
がくりと項垂れながらまた溜息を零すとざくろはソファへ戻って、ころりと横になった。
その時、隣に置いていた携帯電話が鳴ってディスプレイに表示された『自宅』という名前に眉を寄せた。
あきらからではなく父親、もしくは母親からの電話なのだと脳裏を掠める。
そして、それらの連絡は決まっていつも良いものではなかった。
なかなか鳴り止まない電話に観念してざくろは出た。
「もしもし」
『あー・・・、ざくろ?ちょっと帰ってこいよ〜』
電話から聞こえる声は久々に聞く父親のものだった。酒に酔ってるのか陽気なもので、その周りには女の笑い声が最低でも2人分聞こえてくる。
「寮の規則で無理です」
素っ気なく答え、電話を切ろうとしたとき、父親の台詞にその行為を止めた。
『あらら、残念。あきら〜。お兄ちゃん帰って来れないんだってぇ〜』
妹の名前を出された瞬間、ざくろは呼吸が止まり冷水を頭から被ったような錯覚を覚えるほどの緊張感に包まる。
『んじゃな、ざくろ。あきらと遊ぶからお前はもういいや』
ゲラゲラと下品な笑い声と共に電話を切ろうとする父親にざくろは叫んだ。
「待ってっ!行く!今すぐ帰る!だからあきらには触らないで下さい!!」
必死に頼むと電話の向こうで父親が嗤うのを感じた。
『土産に100万、持ってこい』
高圧的な声で言われ、電話を切られたあと、ざくろは青ざめた顔で一目散に部屋を飛び出した。
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