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第169話
「ざくろ!」
学校の寮へ戻ると数名の教師と生徒会長の門倉、そして九流が寮のエントランスで固まっていた。
自分の姿に気がつくと、大声で名前を呼んで全員走り寄ってくる。
「お前、今まで何処にいたんだ!なんで電話に出ねぇ!?黙って寮から出て何考えてるんだ!!」
両肩を掴み、目を見て怒鳴る九流に硬直する。
一呼吸置いて、九流の他に教師や門倉を視界に入れたあと、瞳を伏せて謝罪した。
「ごめんなさい・・・。少し、妹に呼び出されて急だったもので外出届けも出せませんでした。特に何も無かったんですが妹と話し込んでしまって気が付けば寝てしまってて・・・」
口ごもるざくろに九流は怒っていた表情を徐々に安堵のものへと変えていった。
「怪我とかしてないんだな?」
「はい」
「何も無かったんだな?」
「はい」
頷くざくろを九流は強く抱きしめた。
安心から大きな息を吐く。
「何で電話に出なかったんだ?」
「すみません。充電がなくて」
真っ黒なディスプレイを九流へ見せると、呆れた顔で頭を拳でコツンと叩かれた。
「本当にすみませんでした」
体を離し、また頭を下げて謝罪すると教師と門倉が盛大な溜息で注意した。
「西條!ちゃんと連絡はしないとダメだよ?」
「本当だ!外出許可も出さずに何を考えてるんだ!」
「次は停学だからね。通信簿にも響くからな!肝に銘じるように」
門倉を筆頭に教師達がブツブツお小言を残して散っていきざくろは始終頭を上げ下げしては謝罪に努めた。
門倉からも次は庇いきれないと厳重注意をされてしまいざくろは頭を再び深々と下げてお礼を告げた。
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