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第173話

門限ギリギリまで結局二人はホテルでまったり過ごしてから、タクシーで寮へ帰った。 九流の部屋へ直行すると二人してベッドへダイブする。 遠出に加え、体力限界まで求めあった体はお互い疲れ果てて崩れるように眠りについた。 翌朝、九流の携帯電話が鳴り、鬱陶しそうに電話を手にとって着信相手を確認すると舌打ちしてから九流は電話に出た。 「うるせぇぞ、門倉」 掠れる声で悪態つくと電話から漏れる声はとても愉快そうに皮肉を飛ばしてくる。 「うるさくもなるよー。昨日みたいに一方的に仕事休んで今日も来ないつもるならどうしてくれようかと、はらわたが煮えくりかえりそうだ」 「・・・・・」 「今日は絶対来いよ。お前のサイン待ちが山ほどあるんだからな」 念押しされ溜息と共に分かったと答えると電話を切る。 それをまだ眠そうな目でざくろが見つめていると九流は目尻へキスを落とし、頭を撫でてからベッドを出て行った。 その姿を目で追うだけでざくろは九流がいた場所のシーツを握り締めた。 部屋で朝食をとったあと、生徒会の仕事へ外出する九流に対し、ざくろは最後の最後まで纏わり付いた。 玄関口で行ってらっしゃいと微笑みキスをすると九流は嬉しそうにキスを返してくる。 「今日は夕方までかかると思うから昼は食堂へ行けよ」 「はい」 「できるだけ早く帰ってくるから」 「はい」 「体も休めとけよ」 「はい」 九流も名残惜しいのか何か言葉を探してはざくろに話しかけ、頬や耳を親指の腹で撫でた。 「愛してる・・・」 フッと優しく微笑んでいわれ、ざくろの目が一瞬大きく見開く。 「・・・・・・俺もです」 嬉しいと微笑み返して気持ちを伝えると九流は腕時計を見て眉間に皺を寄せた。 「クソ・・・、時間だ。ちゃんと休んどけよ」 ざくろの頭をポンポンと叩いて九流は急ぐように部屋を後にした。 「行ってらっしゃい・・・」 閉まる扉を見つめ、呟きと同時にざくろは瞳を閉じた。

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