いつも柔和な笑顔で王子様さながらの容姿を持つ門倉と九流は幼稚園からの付き合いだった。 愛想がとても良く人当たりが良い門倉と無愛想で人とじゃれ合うのを嫌う九流が仲良くなるのはとても違和感があった。 しかし、そんな間逆だからこそ二人はお互いの足りないモノに惹かれて親友になれたのかもしれない。 誰からも好かれて誰からも信頼され、誰からも頼りにされる門倉は酷く人間不信で見た目と態度に反してとても慎重で冷酷無比な男だった。 人の失敗を許すことが出来ない性格の為、人に頼らず人を信頼することが出来ない不憫な人間でもあった。 そんな門倉の本音に年を重ねると側近達も何かを察して離れていった。 しかし、こんな本性の門倉を知っても、何も言わず尽きず離れず自分を見離さなかったのは唯一、九流だけだった。 一度、心を許すとよほどのことがない限り、九流は自分から去ることはしない。 好きか嫌いか、ただそれだけで大きく区分しては切り捨てていく九流はとても情に厚くとてもシンプルな男だった。 互いに容姿の魅力こそ違えど女に困ることもなかったし、家柄的にも金銭的に十分すぎるほど余裕を持て余していた。 二人揃って、中学には既に親の仕事を手伝っていて、お金を稼ぐ楽しさを身につけてもいた。 門倉はここぞという時にのみ派手にお金をバラいてはいたが自分の容姿とお金に媚びる女共に辟易しては、わざとお金をかけることをしなかった。 逆に九流はとりあえずお金を使うことが楽しそうだった。それも、自分で汗水垂らしたお金を使うのがいいと豪語して金を撒き散らしている姿に理解に苦しんだことも多々ある。 いつか悪い女に捕まるのではと内心心配していたが、そんな女が現れたら適当に誑かして捨ててやろうと思っていた。しかし、九流を本気で落とせる女は自分の知る限り現れはしなかった。 この学園で西條 ざくろと出会うまで・・・