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第181話
一方、九流はというとそんなざくろに知らぬ間に接近しては骨抜きにされてしまっていた。
この金持ち学校で売りをしているだけあり、どれほど強欲で金遣いが荒いのか気になっていたもののざくろはとても素直で謙虚な倹約家だった。
いまいち本性が分からず、ヤキモキしていたら日に日にざくろへ溺れていく親友の身を本気で案じ、門倉は探偵を雇った。
報告書に書かれていたことはとても不憫な生い立ちに胸が痛むと同時に自分の親友に近付かないで欲しいと思う身勝手なエゴだった。
九流がその生い立ちを知ってか知らぬかざくろが唯一大切にしている妹とも接近し始めたのを知り、その思いはより強くなっていった。
正面切って、そのことを口に出したとき九流は冷たい瞳で見返し、自分の痛いところを突いてきた。
「お前の本命はどんだけ信用できる奴なんだよ・・・」
今年の一年に綺麗な子が入学してきたという噂は実は2つあった。
一つは西條 ざくろ。
もう一つは、門倉の初恋でもあり一目惚れしてしまった最愛の恋人、白木 綾人(しらき あやと)。
彼はざくろと同じく一般人だった。
少し裕福な一般家庭に生まれて育ったようだが、並外れた容姿のおかげで周りからチヤホヤされ過ぎて感覚がマヒしている女王様気質の綾人は尽くされることに慣れていて、自分の魅せ方、身の振り方を熟知している天使のような小悪魔だった。
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