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第183話
side 門倉
冷静沈着、粗野で乱暴な物言いと振る舞いをするもののいつも何手も先を見据えて行動する用意周到な九流に俺はいつも感心していた。
生徒会の仕事にしても一緒にいると手際の良さと人への指示は絶妙で人当たりさえ良ければリーダーシップを取ること間違いないだろう。
なかなか人を自分の輪の中へ入れないが、入れてしまえば猛は一生その者を裏切ることなく守っていくだろう。
その覚悟と才能と実力を備えていた。
何より、有り余る才能に俺は惚れ込んでいた。
いつも無頓着な男だったが自分だけが特別だった。
人は猛の容姿と家柄に擦り寄ってくるものの最後の最後まで心を開かない男に根負けして去る人間が後を絶たなかった。
自分と少し似ている性質に仲間意識と信頼を更に寄せた。
「助けて欲しい・・・」
長い間ずっと側にいたがこいつにこんなことを言われたのは初めで驚く。
自分一人で全てを善処してきた猛がここまでするなんて・・・・
俺を頼る辺り、西條ざくろの劣悪な環境をぶち壊す気なのだろう。
猛の用意周到さが浮き彫りになる。
自分に何かあった時、また色んな分野で門倉家の力を借りたいという内容に俺は親友の本気を悟った。
西條 ざくろ。
ただ見てくれだけが良いだけの奴だと思っていた。
猛の中へここまで何かを残す人物に正直興味が湧く。
大きく溜息を吐いて仕方ないと呟くと、ぽんっと手を叩いて俺は得意気に笑った。
「でかい貸しだからな!必ず返すように!」
side 門倉 終わり
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