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第186話
「猛、西條の居場所分かった?」
「・・・・・いや、まだだ」
生徒会の仕事を終え、役員のメンバーを見送ったあと、門倉が聞いた。
九流に頭を下げられたあの日から、門倉は親友の頼みに全力を尽くそうと決めていた。
「一端の探偵じゃ無理そうなら俺ん家の使うか?」
携帯電話を掲げて聞くと、九流は首を横へ振って断った。
「いや、まだいい。お前の家を使うのは最終手段だから。それより、何を残して何を取り除くかの見極めが大事なんだ」
「見極め?」
九流はカバンからA4サイズの封筒を取り出し、中から3つに分けられた書類を手渡した。
そこにはざくろの家族の父親、母親、妹の詳細が記されていた。
「全部西條から切り離したら?」
「いや、妹は駄目だ。あいつの生き甲斐みたいなもんだからな。父親は抹殺でもいいが母親が微妙なんだよな・・・」
「微妙?」
「ああ。特にこれといった害もない。子供に関心がない分、ざくろとあきらちゃんに対して関わろうともしないんだ。切り捨ててもいいが今後二人に保護者として必要なら付かず離れず名前だけでも残す方がいいのか悩んでて・・・」
腕を組みながらざくろのこれからのことを考える九流は溜息を吐いた。
それを見ていた門倉は辛辣な言葉を吐く。
「俺ならこんな母親要らないけどね」
「・・・まぁ、ざくろの本心が聞ければ一発なんだがな」
「お前さぁー、西條にちゃんと信頼されろよ。そこが一番大事なとこなんじゃないの?」
ぐうの音も出ない正論に九流は口を閉ざした。
「居場所分かっても拒否されるのが怖くて会いに行けないって足踏みとかするなよ?」
畳み掛けるように言ってくる門倉に頭を掻きむしって九流は怒鳴り声を上げた。
「あーーー、うっせぇ!!!ちゃんと迎えに行くに決まってんだろ!あいつは俺のもんなんだから!」
告白して自分のものになると頷いたざくろを九流は手放す気などなかった。
己が誰のものか本当に認識出来てなかったのならその身にもう一度刻むまでだ。
心と体に愛情を注いできたつもりだったが今回のことで悔しいことに、自分はざくろから信頼を得られていなかったのだと痛感した。
それはとても悲しくて虚しくさせるものだった。
自分の手元を離れたがっているならばソッとしておいてやるのが良いのかもしれない。
だが、自分から去っていく前日のざくろの様子は何か鬼気迫るものを感じた。
明らかに様子が違っていた。
そして、あの無断外泊
手元の調査書でだいたい何があったのか想像はついてきた。
九流はまたざくろ自身が妹の為に躍起にならないかが心配で仕方ない。
大きく息を吐いてどうしたものかと頭を悩ませたとき、九流の携帯電話が鳴った。
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