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第188話

「お邪魔します」 ざくろがアルバイトへ出て行ってから入れ違いに九流と門倉は二人の新居であるマンションへやってきた。 京介の暴力で未だ青紫の痣が治りきらないあきらの頬を見た九流は眉間に皺を寄せて苦悶の表情を浮かべた。 「こちらへどうぞ。お兄ちゃん、朝方まで帰って来ないんで」 少し気まずそうではあったが、あきらは笑顔で二人をリビングへ誘導し、ソファへ座るよう告げると冷たい麦茶を差し出した。 「ありがとう」 門倉が甘いマスクでお礼を言うと、あきらは軽く会釈して机を挟み、クリーム色のラグの上にちょこんと正座した。 「あきらちゃん、ざくろは何の仕事をしてるんだ?」 なんて答えられるのか不安で仕方なかったが、ずっと気になっては仕方なかったことを九流は聞いた。 しかし、あきらは視線を床へ落として申し訳なさそうに答えた。 「分からないんです。お兄ちゃんに聞いてもいつも笑って躱されちゃって・・・」 「時給とか聞いてる?」 「1800円って言ってましたよ」 それなら知ってますと目を輝かせてあきらが答えると九流はホッと息を吐いた。 時給1800円が本当なら間違いなく売りはしていない事になる。 本当の所はざくろに聞かないと分からないが、望みが持てて九流は嬉しかった。 「バイト先は知ってる?」 門倉が掘り下げて聞くと、あきらはしゅんとして首を横に振った。 「分かりません。最近はお兄ちゃんと話もちゃんとしてなくて・・・」 「一緒に住んでるのに?」 首を傾げる門倉にあきらは小さく頷く。 「一人になりたいのか帰ってきてお風呂に入ったらすぐに自分の部屋へ入っちゃうんです。寝てるのかもしれないし私も声を掛けづらくて」 「なるほどね・・・。まぁ、その辺は猛に任せて、あきらちゃんはお父さんのこと訴える気ない?」 「え!?」 「親子の縁とか切るのは嫌?」 「・・・本当に切れるのか不安です。無理だった時のことを考えると怖い」 あきらの本音なのだろう。 九流と門倉は目線を合わせて頷き、あきらの頭を交互に撫でた。 「大丈夫。ちゃんと守ってやるよ」 九流が優しく笑って安心させるように言うと、あきらは目を見開き泣きそうな顔で九流を見上げた。

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