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第190話

side 京介 「みーつけたっ!」 京介は警察に息子と娘の捜索願を出して二人の居場所を突き止めた。 年頃の子供の反発から家出をされて心配だと良き親を演じ、一芝居打つと警察は親身になって二人を探し当てた。 「相変わらず警察はちょれーなぁ〜」 ヒヒヒッと火のない煙草を口に咥えて笑う京介はざくろがやっとの思いで借りた賃貸マンションの前に立ち、携帯電話で以前ざくろに興味を持った鈴木という男に電話を掛けた。 「あっ!鈴木さん?今夜って空いたますか〜?」 嬉々とした口調で聞くと、鈴木という男はこの電話を待っていたと興奮気味に即答する。 「ほんじゃ、今夜10時に。場所はまたメールしておくんでお願いしますね。10万ですからね?」 以前、鈴木自身が提示した金額を念押しするよう告げ、電話を切ると二人のマンションの部屋番号が記されている手の中のメモ用紙を見つめた。 そして、更にもう一本電話をかけ始める。 「あ、西條です!女子中学生の処女買いませんかぁ〜?5万って破格ですよ〜」 お得意先の仲の良い男へ京介が嬉しそうに告げた。 ざくろだけでなく、実の娘のあきらのこともやはりお金に換えるつもりの京介は電話の相手から契約を結ぶと大金が入る喜びに浮き足立った。 「ほんじゃ、今夜の10時半に!場所はメールしまーす!」 これでまた遊べる。楽な稼ぎ口を見つけたと、京介は咥えていたタバコに火を灯し、下卑た笑顔で煙を吐き出した。 side 京介 終わり

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