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第202話

「え・・・っと、まず、黙っていなくなってごめんなさい」 「ああ」 「心配・・・、かけてごめんなさい」 「おう」 後は・・・と、少し上を向いて考え、ざくろはちらっと九流を見て間違えてないか不安そうに見つめながら小声で謝った。 「・・・・手間を取らせてごめんなさい」 「・・・・・」 「・・・・・」 「おい!終わりじゃねーだろうな?」 再び沈黙が流れ、ざくろからの謝罪が途切れて九流が不機嫌な声で聞いた。 「え?まだあります!?えーっと、待って下さいね!えっと・・・、えっと〜・・」 まだ謝罪を求めてくる九流にざくろは参ったなとダラダラ冷や汗を流した。 「あっ!ブレスレット、現品よりお金で返却の方が良かったですか!?気が利かなくてすみませんでした!明日にでも・・・」 「違うに決まってんだろうがっ!どアホっ!!!」 運転手がいることも気にせず大声で怒鳴る九流にざくろはビクっと体を跳ねさせる。 少し普通の人と感覚が違うざくろは自分の安否に疎い。 自分がいなくなることで誰かがショックを受けたり悲しんだりするなど思わないらしく、少し心の感覚が歪になっているようだ。 「す、すみません!ちゃんと考えます!!」 これ以上、九流を怒らせたくなくてざくろは必死に謝って考えた。 「えっと、えっと・・・、あっ!家具だ!!あんなにいいの買ってもらったのに、ブっ!!!」 もう黙れと掌で顔面を押さえつけられ、ざくろは噴き出した。 九流は呆れたように大きな溜息を吐いて項垂れる。 「あのさ、・・・お前あきらちゃんに俺と別れたって言ったんだって?」 ざくろの顔から掌を離し、九流が嫌そうな顔と声で確認をしてきた。 ざくろはその問いに少し考えてから大きく頷く。 「はい。俺たち別れましたから」 あっけらかんと答えるざくろに面食らい、九流は怒鳴った。 「それ、いつ!?どこで!?どうやって別れたんだよ!!?お前が逃走する前日、すげぇ良い感じに俺らデートしたよな!?お前、俺の事好きってすげぇ言ってたよな?俺も好きだって言ったよなっ!?」 自信満々に答えるざくろの胸倉を掴んで、九流はあの日のことを追求するように訴えた。 目を丸くしてひたすら驚くざくろが自分の怒りを理解しようとしないことが分かると、とてつもない疲労感と苛立ちが九流を襲った。 このド天然、どう躾ていいかわからねぇ・・・・

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