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第203話

タクシーが病院へ着くと、医師とナースが出迎えてくれて、妹の病室へと案内してくれた。 名のある大きな病院で、最上階にある特別室に通されると広い部屋に大きなベッドがあり、その上で意識を取り戻したあきらは上体を起こして座っていた。 怪我の治療で包帯やら絆創膏を貼っていて痛々しい姿ではあったがいつものように明るい笑顔を見せるあきらにざくろと九流は心から安心した。 病院側はあきらの身体に心配はないが、時間も遅いことを考慮し、念のため一日入院しようという見解となった。 二人で病院の外へ出るとざくろは妹がお世話になった礼を言って財布からタクシー代として一万円札を九流へ差し出した。 「先輩、今日は本当にありがとうございました。これで寮へ戻って下さい」 その札を九流は嫌そうに見つめてざくろへ溜息交じりに聞く。 「お前はどうすんだ?」 「俺は・・・・、マンションの片付けでもします」 少し考えたあと、笑って答えるざくろを九流は腕を掴んでタクシーへ引きずり込んだ。 「な、何ですか!?」 「マンションの片付けするんだろ?手伝ってやる」 そういうと九流は運転手に先程のマンションまで帰るよう告げた。 「い、いいですよ!!先輩は寮へ戻って下さい!!」 「うるさい。黙ってろ」 自分のことを蚊帳の外へ追いやろうとするざくろに苛立った九流は大きな舌打ちをし、怒りを露わにした。 ざくろは困惑しながら押し黙ると、また九流を不快にさせたのだと気を落とし、すみませんと小さな声で謝った。 長い沈黙の中、マンションの部屋へ着いたざくろは唖然とした。 壊された扉は綺麗に修復され、割れた窓ガラスたちも全て掃除されて新しいガラスが張られていた。 破損した家具や食器なども全てのものが新たに全く同じものが同じ場所に収納されている。 カウンターを見るとお皿に盛られた果物とその横に備え付けられているペティナイフまで再現され、あたかも何事もなかったような状態を維持するこの部屋に驚いた。 もう、先程起こったことは全て夢だったのではと頭の中を混乱させる。 「門倉が処理したみたいだな」 九流は息を吐いて、ふんっと鼻を鳴らすとソファへどさっと腰を掛けた。 「掃除もなくなったし、ざくろ。本腰入れて話し合おうぜ」 顎でこっちへこいと促されざくろはかつてない程の強烈なプレッシャーの中、九流と向き合うように机を挟んで床のラグの上へ正座した。

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