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第205話
それを見て九流の中の怒りが弾ける。
「はぁ!?てめぇ、ふざけんなよ?」
ソファから立ち上がり、二の腕を掴み上げて俯くざくろの顔を自分へ向かせる。
ざくろはビクっと体を竦ませて涙を溜めた熱っぽい瞳を九流へ向けた。
どことなくざくろが漏らす吐息が甘ったるくて様子がおかしいことに九流は眉間の皺を深くする。
「体調、悪いのか?」
苛立ちを含む九流の声に首を横へ振ると、か細い声で答えた。
「大丈夫です。話し合いできます」
「・・・・・」
潤む瞳を伏せて体を震わせる様子に不可解に感じた九流は腕を離す代わりに、首筋へと手を滑らせた。
「ひゃあっ!」
甘い声と同時に腰を抜かして体を竦めるざくろはラグの上へ座り込む。体を抱きしめ、ガタガタ震えるざくろに眉間に新たな皺を寄せた。
「お前、そういえば薬飲んだな・・・」
聞かれてぼーっとする回らない頭でざくろは考えた。
確かあきらの代わりに鈴木という客に当てがわれたとき、京介に手渡された小さい白の錠剤を飲んだことを思い出した。
媚薬の一種だろうと思っていたが、どうやら効果が今になって出てきたらしく、体は少しの刺激にも大きな快楽を生み始めた。
「せ、先輩・・・、すみません。あ、あした・・・・・、はぁ・・・っ、明日、話し合い・・・おねが・・・・・ぅぅ・・・、します・・・・」
一度感じ始めた身体は一気に火照り始めてざくろを蝕んでいった。
ガクガク震える体を丸く縮めてざくろは、はあはあと荒く熱い呼吸を繰り返した。
「・・・ふっ、・・くぅ・・・ト、トイレ・・・・・」
震える足で立ち上がろうとするが、腰に力が入らず四つん這いで一人になれる場所を探すと、九流に肩を掴まれ、床に押し倒された。
「トイレ行ってナニする気だよ?今、大事な話し合い中だろう?」
責めるような言葉に熱に浮かれた瞳を向けるが、涙で霞んで九流の表情は見えない。
「っで?何で別れたいんだ?」
無情にも何事もないように淡々と会話を戻して聞いてくる九流にラグへ爪を立てて体を渦巻く熱にざくろは必死に耐えながら話し合いに臨んだ。
「・・・・お、俺には・・・、やっぱ・・・先輩は勿体無いです・・・、ふっあァア・・、ンンッ・・・・」
必死に理由を口にしてるとき、九流の手がざくろの太ももを撫でた。
ビクンッビクンッと体が大げさに跳ねて喘ぎ声も漏れる。
「さ、触らないでぇ・・・・」
意識が保てなくなると涙目で懇願してくるざくろに九流の嗜虐心が煽られた。
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