214 / 229

第213話

「もしもし」 ゆっくり体を起こして、自分が発した声が九流からの電話に少し浮かれていることをざくろは知る。 『起きてたか?お前、手紙置いといたけど勝手にいなくなんなよ。後、サンドイッチ食えよ。夜はあきらちゃんとこで一緒に飯食うから今日は1日寝てろ。いいな?』 忙しいのか九流の周りはざわざわと騒がしく、誰かが九流を呼ぶ声が幾つも重なり合って聞こえた。 「ちゃんとご飯食べて寝ながら先輩の事、待っておくんで大丈夫です」 『当たり前だ!夜にはまた・・・って、おい!』 「先輩?」 『もっしもーし!おはよー!』 九流の怒鳴り声と交代して次に電話に出たのは軽快な声の門倉だった。 「門倉先輩!?おはようございます。昨夜は本当にありがとうございました」 『うんうん。いいよー!ただ、今立て込んでるから、昨日のこと本当に感謝してるなら絶対俺らが戻るまで部屋から出ないように!猛が君がまたいなくなるんじゃないかってソワソワして全く作業が進まないんだよ』 「えぇ!?そんな・・・、すみません。必ずここにいるようにします!」 誓いますと意気込んで伝えると、門倉は是非そうしてくれ。と笑いながら電話を切った。 通話が切れて明るい雰囲気の生徒会にざくろも笑いが込み上がる。 再びぽてっとベッドに横になると、携帯電話を握りしめぼーっとしながら今のこの状況下に幸せを噛みしめた。 今後のことを考えなければいけないのだが、今はゆっくり過ごしたくて瞳を閉じた。 どうやら心と体は自分が思う以上に疲れていたようで、ベッドで少し目を閉じただけでざくろはすぐに眠りについてしまった。

書籍の購入

ともだちにシェアしよう!