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第215話
「クソっ!あのポンコツ共め・・・」
苦々しく毒を吐きながら九流は学校から寮へ早足で帰宅した。
時刻は4時を回っている。
「まあまあ、皆んなも頑張ってくれてるんだし」
不機嫌な九流に門倉がフォローを入れながら、歩調を合わせて歩いた。
「西條とちゃんと話し合ったんだろ?大丈夫だって」
「・・・・話し合えたのか微妙なんだよな」
昨夜は薬のせいで乱れ始めたざくろにセーブが利かず、欲望のまま抱いてしまった。
疲労で恐らくベッドから出られないとは思うが、妹のことになると根性の見せ所が凄まじいざくろだ。
あきらを心配してまた寮を抜け出している可能性も否めず、九流の焦りは歩く足を競歩に変えた。
「そんなに心配なら鎖につないでおきなよ」
「お前みたいな変態と一緒にすんな」
「失礼だな」
門倉の言葉に九流が言い返すと、寮へ着いたと安堵の息を吐きながら九流はエントランスへ入った。
エントランスにはいくつかのテーブルとソファが用意されていてそこでお茶を飲んだり談笑したりする共同スペースが保たれていた。
カウンター席には数台パソコンも設置されていて学生達が自由に使用していいことになっている。
いつもはガランとしてただの通り道に過ぎない場所も今日は驚くほどの賑わいを見せていた。
その原因は・・・・
「あっ!先輩!!お帰りなさい」
沢山の寮生に囲まれる中、九流を見つけたざくろが手を振って顔を見せた。
その光景に九流の中でイラッと嫉妬の種に火が着いたのを隣いる門倉は瞬時に気付く。
ヤバいと察すると、幼馴染みから一歩身を引いた。
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