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第217話

部屋に戻るなり九流はざくろを抱かしめてその存在を確認するようにキスをした。 「んっ・・・」 ビックリしたが、ざくろはうっとりするように目を閉じてそのキスを受け入れた。 口を薄く開いて誘うと、九流は吐息で笑って唇を離した。 「これ以上したら止まんねぇから、やめとく」 ぽんっと頭を叩かれ、残念だと思う自分が恥ずかしくて俯いた。 ネクタイを緩めながら中へ進み、九流は制服から私服へ着替えた。 ざくろは所在無さ気に困惑しながら、ソファに腰掛ける。 「ざくろ、これ返しとく」 私服に着替えた九流はクローゼットから紙袋を二つ持ってきた。 ソファの前のテーブルへ置くとそれと同時に金のブレスレットをざくろの腕へつける。 「これはもう、一生俺に返すな」 念を押すように強い眼差しで見つめられ、ざくろは首を縦に振る。了承する自分を見て、明らかに安堵する九流へ甘えるように抱き着いた。 九流は抱きしめ返し、頭を撫でながらテーブルの上に置いた紙袋へ目を向けた。 中身はざくろが違約金といって置いていった四千万が入っていた。 「この金もざくろが持ってろ」 「そのお金はもらえません。違約金なんで」 そっと体を離してざくろが言う。 「本当にちゃんと付き合うならお金は貰えません」 「・・・・・」 なんとなくざくろが言いたいことが伝わり、九流は頷くと紙袋を見て答えた。 「分かった。でも、最初の二千万だけ返してもらう。残りはお前へ返す。俺も恋人に二千万貰うのは嫌だしな」 それは譲れないという九流に分かりましたとざくろは頷いた。 なんとかここまでは円満に問題が解決したものの、本題はここからだった。

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