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第219話

「お兄ちゃん!」 妹の病室へ入ると、あきらはぴょんっとざくろの腕の中へ飛び込んできた。 「あきら、体は大丈夫だった?」 妹を抱きしめて聞くと、あきらは満面の笑顔で頷いた。 「うん!検査は問題ないって!怪我もちゃんと治るって!大丈夫だったよ」 「それなら良かった」 心底安心したように息を吐いて、あきらを抱きしめるざくろの姿に門倉は腕を組んで感心した。 「兄妹ってあんなにベタベタするもんなの?」 「さぁ?妹がいねぇから分かんねぇ」 「・・・弟に抱き着かれたら自己ベストで地べたにねじ伏せる自信あるな」 「おう」 お互い男兄弟しかいないことからざくろが妹に接する甘さに二人は驚いていた。 あきらの部屋は特別室でとても広く、小部屋が3つも付いていた。 あきらが眠る主寝室の他に食事をする為のダイニングルーム、そして付き添いの人間が寝泊まりできるゲストルームだ。 どの部屋もとても綺麗で広い。 ダイニングルームで四人は長方形のテーブルでフランス料理を堪能した。 マナーが分からないと兄に甘えながら食べさせてもらうあきらに門倉が妹っていいなと笑った。 「ここまで甘えられると清々しいな。っていうか、俺も甘えられてみたくなる。あきらちゃん、モテるでしょ?」 門倉の言葉にあきらはえへへと笑うだけで否定も肯定もしない。 兄のように華やかな容姿こそないものの男を虜にする言動が彼女にはあった。 これもまたざくろと同じように生きていく為に身につけた術だったのかもしれない。 門倉はこの甘え方をざくろがもし身に付けたら無敵なんだろうなと心の中で思った。

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