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第221話

「・・・お兄ちゃん、学校なんだけど戻ってね」 父親の無期懲役コースに少し不納得そうな兄に、ずっと気に掛かっていた話題をあきらは切り出した。 「え?どうして?」 「九流先輩と一緒にいた方がお兄ちゃんにとっていいから」 「・・・・・」 学校を卒業して欲しいとかの理由ではなく九流の側にいろと言われたことに驚いた。 「私ね、お兄ちゃんには幸せになってほしいの」 あきらは門倉に言われた言葉を思い出す。 ー 自分のせいだと分かってるなら自分がどうあるべきなのかどうすればいいのか考えて行動しなさい ー 「お兄ちゃんは私の側にいると駄目になっちゃう。幸せから遠退いちゃう。それは私のせいだって分かってる!私の側にいるとお兄ちゃん不幸になっちゃうの。九流先輩と一緒にいて普通の感覚を知って欲しい」 兄の幸せを切に願う妹の姿にざくろは困惑した。 「俺、あきらといて不幸だなんて思った事ないよ?いつも助けられてたよ?あきらが笑うといつも嬉しかった。そんな風に・・・」 「違うの!お兄ちゃんがそう思うのは私がそう思わせてただけなの!」 大きな声でざくろの言葉を遮って言うあきらは興奮からか、小さく震えていてなんだか痛々しかった。 ざくろはそんな妹を優しく抱きしめた。 「あきら、変に自分を卑下しないで。物心ついた頃からあきらは俺の全てだよ。あきらがいなきゃ、本当に死んでた。生まれてきてくれてありがとう・・・」 泣くのを我慢している妹から体を少し離して顔を覗き込み微笑むと、顔をクシャクシャにしてあきらは泣き出した。 あきらが泣き止むまで抱きしめ続けるざくろは今後、自分の進路とあきらの住居をどうしようか悩んでいたとき、九流が声を挟んだ。 「あきらちゃん、俺の家へ来ないか?」 「「え?」」 ざくろとあきらの声が重なり九流へ2人の視線が向く。 門倉は九流の提案になるほどと頷いた。 「俺の実家は部屋も沢山空いてるし、あきらちゃんが来てくれるなら九流家が全面的に守ってやれる。兄と弟もいて賑やかだしな」 「猛の家族は凄くアットホームだから居心地はいいと思うよ。それに、おばさんは女の子欲しくて仕方なかったらしいからあきらちゃんが行くと感激すると思う」 門倉も笑って九流家を太鼓判だと押した。 「いや、それは迷惑だから」 結構ですと断ろうとしたとき、九流が声を張り上げた。 「お前が学校へ戻って来ない方が迷惑だから!」 先手を打たれ黙るざくろに九流は息を吐いて腕を組む。 「それに帰省シーズンのとき、一緒に同じ場所へ帰れると俺も安心だし、いい事尽くしだから迷惑とか言うな。問題はあきらちゃんが嫌じゃないかなんだが・・・」 九流の視線があきらに移る。 あきらはごくりと唾を飲み込んでざくろの同意を得ることもせず頭を下げた。 「九流先輩、是非お願いします!」

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