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第223話

明日の朝10時にあきらは退院が確定した。そして、そのまま九流家へ移動することが決まった。 ざくろも今日は病院へ泊り、ここから明日は九流家へ挨拶に伺いたいとお願いしたが、また気が変わっていちいちうるさそうだと九流に寮へ引っ張って連れて帰られた。 自分の部屋へも戻してもらえず、九流の部屋へ連行される。 部屋についてすぐ、お風呂を勧められたが、気持ちの整理もしたくて九流に先に入って欲しいと頼んだ。 部屋に残されたざくろはソファの上に腰をかけ、ごちゃごちゃになっている頭の中をやっと整理する時間を得た。 ソファへ背中を凭れさせ、天井を見上げる。 ・・・・・解放された? あの男からそう思っていいのだろうか? 本当に平穏な日が来たと信じていいのかな? そっと瞳を閉じてざくろは京介を思い浮かべる。 生まれた時からあの男からは暴力しか受けた記憶しかない。あきらへ手を上げるようになり憎しみが増していった。いつか殺すと誓っていたものが予期せぬ方向へ転がり関係が断たれて、心にポッカリ穴が開いた気分になった。 まだ信じられなくて明日にはまたあきらへちょっかいをかけるのではと不安が込み上がる。 そして、もう一つ・・・ 正直、九流へ何処まで甘えていいのかも分からなかった。 自分の代わりにあいつを殺してくれると言ってくれた九流のあの目をざくろは思い出して身が竦んだ。 本気だったんだと思う それが嬉しい反面、恐ろしかった それと同時にこんな醜い感情がバレて悲しくもあり、自分を恥じもした。 自分を受け入れてくれようとする九流がざくろは分からない。 閉じていた瞳を開き、九流のいるバスルームをざくろは感慨深い目で見つめた。

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