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第224話
明日からは九流家を巻き込んで世話になる。
自分にとって最愛の妹が信頼する先輩の家へ預けられるのはとても有難くて助かるも、九流におんぶに抱っこ状態で頭が上がらなかった。
九流家から少しでも迷惑そうな雰囲気を察知したら直ぐに身を引こうと心に刻んだ。
そして、次に・・・・・
「あぁーーーーっ!手土産!!」
大声を出して頭を抱え、ソファから立ち上がった。
「ヤバい!明日、10時とかお店空いてないよ!」
帰省時の九流家訪問の二の舞だとざくろは顔を青く染め時計を見た。
時刻は9時半でざくろはまだ間に合うと財布を握り締めて部屋を飛び出した。
急いで走って向かった先は寮のエントランスにある売店だった。
小さい規模なのだが沢山の有名な高級菓子やら雑貨を少しずつ取り扱っていて寮生達が頻繁に買い食いしたりしていた。
売店で買い物をするのは初めてだったざくろは店を一巡して驚いた。
デパートさながらの豊富な種類に息を呑む。
誰もが知っている高級菓子にこれならお土産にしても恥ずかしくないと安堵した。
どれにしようか悩んでいたとき、ふと九流の兄である勇の顔を思い出す。
自分と同じチョコレートが好きだと言っていた勇にチョコレートの詰め合わせの箱を手に取った。
あと、クッキーの詰め合わせも手に取るとその二つをレジに持っていった。
「勇さんにまた会えるかな」
九流家へお邪魔したとき、とても良くしてもらった恩を思い出し、胸が温かくなる。
一緒にお茶をして自分のシフォンケーキを絶賛してくれたことにざくろの表情は笑顔になった。
ケーキを一緒に作りたいとまで言ってくれた勇がどこまで本気か分からないが、是非一緒に作りたいとすら思っている。
支払いを済ませて綺麗にリボンを掛てもらい、これで安心だと九流の部屋へ機嫌良く浮き足立って戻って行った。
心配を通り越し、怒り狂う九流が待っているとも知らずに・・・
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