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世界

白銀の長い髪をした男は、湖の畔に座り込み、片手で水をすくい取った。何度か繰り返し、眉間に皺を寄せるとすっと立ち上がり、湖の畔に建つ小さな城へと向かって行った。 湖は大きく、青く澄んでいる。湖の半分は霧で覆われている。湖畔には大きな翼を広げた龍の石像がうつぶせる様にして建てられている。  森の杜人は癒しの力を受け継ぎ、この湖の浄化をしている。  白銀の青年もまたその力を受け継いでいる。その髪の色こそがその力の証でもあった。  城へと戻った青年は同じ白銀の髪を持つ人々と、「湖は悪化の一途を辿っている。このままではいつ枯れるとも分からない」と囁きあった。 「フェルメ、総領が呼んでいる」 「今、向かいます」  白銀の髪を揺らして、中央の螺旋階段を上がって行く。最上まで登ると、重厚な木の扉をノックした。 「フェルメです」  名前を名乗ってから扉を開くと、広間の中央を流れる水を囲むようにして、白銀の髪を持つ人々が立っている。 「フェルメ。湖の様子はどうであった」 「確認してまいりましたが、腐敗は進んでおりました。早急に手を考えなければ、水は枯れてしまいます」  フェルメの報告によりそこにいる者の表情は曇る。 「まだ枯れぬということは、『龍神の末裔』は生きているということだろう」 「しかし、それは伝説と……」 「もしも、生きているならば17、8歳。性別は分からぬが……」 「龍神の杜人が姿を消して17年。もしも、生きているのであればその人物こそがこの窮地を救う最後の希望。フェルメ、すぐに支度をし、捜索に向かえ」 「はい」  フェルメは広間を通り抜け、奥の扉へと姿を消した。 �

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