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世界

 鉄を打つ音が響き、湯気が轟々と立ち昇る。  その中を漆黒の瞳と髪を持つ青年と中老が進んで行く。鍛冶職人たちは敬うように2人を見つめ、その手を休めて挨拶する。  2人は山裾に大きく開いた採掘場へと入っていく。 「この部分です」  最奥の壁を触りながら青年は薄暗く、誇りっぽい地面へ膝をついた。 「これなら申し分ないであろう」 「しかし……このように黒い石ははじめて見ます」 「強大な力を秘めていることは確かだ。しかし、掘り出して研磨してこそその力を発揮する」  中老も青年と同じように地面に膝を付き、その壁を触った。 「この力を欲しているのは、スオーロか……」 「スオーロへ渡すのですか?」 「まだ結論は出ていない。採掘してからだ」  中老は立ち上がり、ほこりを払うと元来た道を戻っていく。  能力のある者にとっては価値のある石。それを見分け、研磨し、価値のある物にすることに長けた能力者を持つアウルム国。  国民もその恩恵を受け、鍛冶職に長けていた。  各地で戦争が起こり、武器は飛ぶように売れる。そして、『石』もまた高値で取引され、争いの種を蒔く。 「オーロ様、エクスプロジオンより使者が参っております」 「分かった」  漆黒の瞳の青年は中老に一礼するとその場を去って行った。 �

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