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逃亡

ガタガタと揺れる馬車の小さな荷台に手足を縄で縛られて隣同士を繋がれた状態で、数時間閉じ込められていた。  暑さで喉は渇き、荷台が揺れて縛られた縄が肌を擦り、赤く色づいている。  話をすることも禁じられて、古びた床の隙間から見える地面をただ見つめていた。  スオーロの東の町からブルーメンブラッドとの境の町へ売られる。辺りが暗くなり始めた頃、休戦地帯に程近い場所を通る。  その場所こそが逃亡を図るチャンスだった。  ブルーメンブラッドは隣国のスオーロにより武力で制圧され、国民の大半が奴隷とされた。  奴隷は安い賃金で働かされ、売られ、逃亡すれば簡単に殺される。奴隷同士の対立も激しく、元ブルーメンブラッドは奴隷区とされている。  スオーロ国は武力に秀で、戦略の知恵にも長けていた。5カ国で成り立っていた国を占領し、統治することを企んでいると古くから言われ続けているが、それが成し遂げられないのは、対立するエクスプロジオン国があるからだ。  エクスプロジオン国は武力で制圧するスオーロとは違い、和平と調和を重んじる。武力、戦略は劣るものの国民からの信頼は厚く、鍛え上げられた兵団は個人よりも協力し合っての戦略に長けている。  そのエクスプリジオンに亡命することができれば奴隷から解放される可能性は高い。エクスプリジオンとの境には休戦地帯という保護すべき森林や湖などがある。そこへ一時的にでも逃げ込むことができれば亡命への可能性はさらに高くなる。  ガタガタ揺れる馬車が急に止った。休戦地帯まではまだ距離がある。 「今日はここで宿を取って、明日の早朝に出発する」  見渡した仲間の表情が一気に変わる。 「お前らはここで大人しくしていろ」  背の低い奴隷商はそう言うと荷台にかけられた厚い布を下ろそうとした。 「ちょっと待ってくれ。せめて水だけでも……」  しゃがれた声で1人が訴えるが奴隷商は厚い布を下ろすと立ち去って行ってしまった。  重いため息がそれぞれの口から零れた。 「早朝に出発して、休戦地帯が近づいたら一気に逃げ出すぞ。闇に紛れることはできない。森を一気に抜けてエクスプリジオンに駆け込もう」 「だけど、それじゃあ距離が長すぎる。追って来られたら……」 「全員は無理かもしれないが、休戦地帯の森の中なら隠れることもできる」  不安に表情は暗く俯く。 「明日。俺が合図を出したら飛び出すぞ」 �

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