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龍神の杜人

 数人の足音が聞こえて、肩を竦めた。  少しだけ開いたドアが大きく開かれて、強く腕を掴まれた。 「ご、ごめんなさい」  慌てて謝るが、腕を掴んだ男にグイグイと引かれて宮殿の中に入れられてしまった。  玄関から入ってすぐのロビーには数人の森の杜人と思われる人がいて、僕を囲むようにして見つめていた。 「僕は、エクスプリジオンの……」 「兵士にはとても見えないが」  掴まれた腕は痛いほどだ。 「兵士では無くて、エクスプリジオンのシャルール様に……」 「どこから入り込んだんだ」  蔑むように僕を見下ろしている。イグニスと同じように銀糸の髪をしている。シルクと思われる白いドレープのケープを羽織った男達は眉間に皺を寄せている。 「僕はエクスプリジオンの兵に保護されていて……スオーロからエクスプリジオンへ……」 「奴隷か」  腕を掴んでいた男はパッと跳ね除けるようにして手を離した。 「奴隷がこんな所に何用かっ」  怒鳴るように声を荒らげた。 「ご、ごめんなさい。ただ、シャルール様に報告が……」 「報告なら兵を寄越せばいいだろう」 「このような者をここに連れ込むなど……」 「汚らわしい……」  口々に蔑む言葉を呟き、嫌悪するように離れる。  こんな扱いは今までも受けてきた。だけど、主人やその家族だけで、こんなに多くの人間に囲まれたことは無い。恐怖に足が竦んだ。 「外に出ろ」  入って来たドアを指差される。 「どうかされましたか」  男たちの向こうからイグニスの声が聞こえた。  走り寄って来る足音は複数だ。 「ディディエ」  呼ばれた声に顔を上げた。男たちを割ってシャルールが現われ、僕を引き寄せた。 「この者が何か?」 「その者は奴隷でしょう。なぜここにいるのですか?」 「そのような報告は受けておりませんが」 「この者は我々の預かっている客人だ」

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